メランコリー親和型うつ病との比較
メランコリー親和型うつ病との比較をもう少し詳しくお話します。
発症する年齢層が違うことは前項でもお話しましたが、病前の性格もかなり異なります。メランコリー親和型では秩序を愛し、配慮的、几帳面で仕事も熱心な人が多いのですが、ディスチミア親和型は、社会秩序への否定的感情や万能感があり、そもそもあまり仕事熱心ではない人が多いようです。
この時点で既にかなり異なる人物像が浮かび上がりますが、従って病気になってからの変化はメランコリー親和型の方が顕著で、ディスチミア親和型だと、どこまでが「もともとの性格」でどこからが「症状経過」なのかが不分明になります。
ディスチミア親和型は、抑制症状や罪業感が無く、回避行動は主体的で、時々他罰的になるのに、大うつ病の診断基準も満たすので、やはり不可解な症状ということになります。
困るのは無気力になることで、結果として適応障害を招きます。適応障害は、家庭、学校、職場などでの目的に沿った行動ができなくなることで、自分の心理的満足が得られなくなった状態のことでもあります。
いずれにしても非社会的行動などの症状が出現するので事は重大です。このように精神機能の抑制が強いメランコリー親和型とはかなり対照的な症状ですが、治療していくには薬ではない方法をとっていくことになります。